英虞湾の再生に向けた人工干潟の造成実験

活動の目的


1.本活動とくらしとの関わり赤潮や貧酸素化の発生,アコヤガイの斃死の問題を抱える「英虞湾の再生」は漁業者のくらしに直結した問題である.また,一般市民にとっても,英虞湾は自らの汚濁の最終到着先であり,「英虞湾の再生」は漁業者・一般市民に共通したくらしの問題と言える.
2.漁業者が率先する環境再生活動英虞湾の再生には,下水道・浚渫事業などの公共事業型の取り組みに加えて,漁業者と一般市民のくらしにおける環境活動が必要である.そのために,まず,漁業者が率先して環境浄化に役に立つ干潟を作り,漁業者と市民が一体となった英虞湾の再生活動を呼び起こす.
3.資源循環型の干潟づくり英虞湾の汚濁原因とされる海底の泥や養殖の排出物を栄養に富んだ資源と考える.この資源を再利用して人工干潟を造成し,ゴカイ,カニ,アサリなどの餌として利用することにより,資源循環型の干潟作りを試みる.

活動の内容

1.人工干潟の手作り造成
@造成場所: 英虞湾立神浦(立神漁業協同組合の合意済み) 
A造成時期: 平成12年9月
B規模:   1実験区(5m×5m)を5区画(合計25m×5m=125u)
C造成ケース:自然干潟型(現場の天然干潟をそのまま利用する) 
〔5ケース〕 
浚渫泥利用型(浚渫処理土を利用する.混合率20%と50%)        
貝掃除排出物利用型(混合率50%)        
浄化能力強化型(透水性の高い材料により浄化能力を強化するもの)
D方法:   研究会メンバーが中心となって手作りで造成する.また,近隣の小学校の課外授業,行政・企業のボランティアの協力を得る.

2.人工干潟の浄化能力の体感と科学的調査
@浄化能力の体感実験:人工干潟にアサリの稚貝を撒きその成長具合を調べたり,ゴカイ,カニなどの干潟生物を観察して,各実験区の浄化能力を体感する.
A浄化能力の科学的調査:海水,泥,生物を分析し,各実験干潟の浄化能力を科学的データにより比較する.分析は県保健環境研と大成建設が実施する干潟研究に依頼する.

3.シンポジウムによる実験結果の普及 
一般市民,漁業者,行政,研究者などに広く呼びかけて,本活動の様子,干潟実験の成果,今後の英虞湾の再生について議論するシンポジウムを開催する.

予想される効果

@ 漁業者が率先して英虞湾の再生に取り込むことにより,一般市民の意識が高まる.
A 干潟実験データは,浚渫泥や養殖排出物を再利用する新しい人工干潟の開発に役立つ.
B 人工干潟は,次世代を担う子どもたちの環境教育の場として活用できる.
C 手作りで干潟を造成するので,公共工事に比べて格段に安い費用で干潟が造成できる.
重機作業
5m×5mの区画を5区画作ります。


干潟完成 小学生アサリ散布
地元の小学生にあさりの放流を手伝っていただきました。

シンポジウム
干潮の時間に調査をするので、夜間に調査をした時もありました。シンポジウムを開催し、たくさんの人達に参加頂きました。


前に戻る