英虞湾の再生に向けた人工干潟の造成実験・藻場の造成実験

活動の目的

1.漁業者が自ら率先する環境再生活動英虞湾の再生には,下水道・浚渫事業などの公共事業型の取り組みだけでなく,まず,漁業者が率先して行動することによって,一般市民参加型の環境再生活動を呼び起こすことが重要と考える.この考えに基づき,昨年度に実施した人工干潟造成実験の取り組みでは予想を遥かに超える反響があった.県内外の一般市民・行政・研究者の協力,小学校の課外授業への利用,新聞・TVの報道など,我々の活動が新しい環境活動として価値のあることと実感した.昨年度に点火したこの活動を,今年度は大きな炎へ拡大して行きたい.
2.干潟から藻場へ連続した海域生態系の復活英虞湾の自然浄化能力を高めるには,海域生態系を復活することが大事である.英虞湾の本来の姿として,湿地帯のヨシ原,波打ち際の干潟,海中の藻場と続く連続した生態系を復活させる必要がある.昨年度に造成した人工干潟は海域生態系の要素の一部であった.今年度は,干潟の沖側にアマモを移植し,干潟と藻場が一体となった生態系を復活させる実験を行う.この干潟・藻場の復活実験の成果をもとに,英虞湾再生の基礎を固めたい.

活動の内容
1.浚渫土を利用した人工干潟造成実験の継続調査(立神浦人工干潟) 
@調査時期: 平成13年5月〜平成14年2月までの内,春・夏・秋・冬の4回
A調査項目: 水質(干潟内外の水温,塩分,溶存酸素,COD,全窒素,全リン,SS)底質調査(粒度分布,含水率,強熱減量,ph,酸化還元電位,COD,有機物,全窒素,全リン,硫化物)ベントス調査(出現種類,数,重量)アサリ調査(昨年度9月に放流したアサリの生息数,成長量)
B方法:   研究会メンバーが中心となって海水・底質のサンプリングを行う.分析・解析作業は三重県科学技術振興センター保健環境研・大成建設葛Z術センターの共同研究により行う.

2.アマモ移植による藻場造成実験 
@場所と時期:立神浦人工干潟の沖側(漁協の合意済み),平成12年8月
A規模:   人工干潟の沖側約600u(長さ25m×幅25m=625u)
B造成内容: 海底をカキ殻散布や植生マットにより改良後,アマモ繁茂域から移植する.
C方法:   三重大前川教授の指導の元に,研究会・三重県保環研・大成技術センターにより移植・追跡調査を行う

3.「英虞湾の再生を考えるシンポジウム」の開催 
昨年度と同様に,一般市民,漁業者,行政,研究者などに広く呼びかけて,本活動の様子,干潟実験,藻場実験の成果,今後の英虞湾の再生について議論するシンポジウムを開催する.本シンポジウムでは,環境再生に実績を持つ専門家に講演を依頼する

予想される効果
@ 漁業者が率先して英虞湾の再生に取り込むことにより,一般市民の意識が高まる.
A 干潟・藻場実験の成果は,英虞湾の環境再生を実現する技術として応用できる.
B 人工干潟は,次世代を担う子どもたちの環境教育の場として活用できる.
C 手作りで藻場を造成するので,公共工事に比べて格段に安い費用で藻場が造成できる.

アマモ移植 干潟調査
アマモ場の造成試験、 干潟の調査


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